カウンセリング手法

 カウンセリングにはいろいろな形がありますが、大きな解釈をすると、一定の時間のお約束の中で、カウンセラーとクライアント(お客さん)がコミュニケーションをとり、クライアントのニーズに応えることを意味しています。 カウンセラーによってさまざまな技法を使い分けたり、組み合わせたりしていますが、ここではカウンセリング技法の中でも代表的なものをいくつか紹介いたします。

精神分析(サイコアナルシス)

 精神分析は20世紀のはじめにウィーンでジークムント・フロイトによって始められました。それは人間のこころが意識的なこころと無意識的なこころの両方から成り立っているという考えを基礎にしています。 私たちは誰でも、ある種の無意識的なとらわれのなかで生きています。そのとらわれが大きすぎると、苦しくなり、ゆとりを失い、ときにはこころの病になります。

精神分析は特別なやりかたで、分析を受ける方と精神分析家とが交流する実践です。

分析を受ける方がしだいに自分自身を無意識的な部分も含めてこころの底から理解し、とらわれから自由になり、生き生きとしたこころのゆとりを回復させることをめざしています。

分析を受ける方は寝椅子もしくはベッドのようなものに横たわり、 自分のこころに浮かんできたことを思いつくままに話していくように、といわれます。分析家は分析を受ける方から見えないところにいて、いっしょに時をすごし、分析を受ける方のこころのありかたを思いめぐらし、 ときにはそこで考えたことを分析を受ける方に伝えます。一回が45分ないし50分のこうした時間が週4回か5回定期的にもたれるのが、フロイト以来の精神分析のやりかたです。 このような時間を積み重ねるうちに、分析を受ける方のこころの世界、 無意識の世界がその方のお話の内容や分析家との関係性の中に現れてきます。訓練された分析家はそうした世界に触れ、それを体験し、理解していきます。そうした分析家の力を借りながら、分析を受ける方も、自分の無意識の世界を十分にこころから体験し、 やがて人生について本質的な、気持ちのこもった気づきを手にするのです。

お気づきのように、多くの他の心理療法やカウンセリングよりも、精神分析はとても密で深い交流を基本にしています。 そのなかで分析を受ける方が動かすこころや気持ちはとても大きなものです。分析がうまくいく場合、そのようなことを基礎にして、分析を受ける方はそれまでのその方のありかたを超えていくことが可能になるのです。


日本精神分析協会 ウェブサイトより抜粋 http://www.jpas.jp/psych01.html

認知行動療法(CBT)

 認知行動療法はカウンセリング方法としてはグローバルスタンダードとなっている方法です。アメリカやイギリスなどの医療先進国では保険会社や政府などが認知行動療法を推奨しています。

行動認知療法(BCT: Behavioral and Cognitive Therapies) 若しくは認知行動療法(CBT: Cognitive Behavior Therapies)では、予測や判断、信念や価値観といったさまざまな認知的要因(認知的変数)を想定し、それらが個人の情緒や行動にどのような影響を及ぼしているかを重視しています(認知の機能)。 そして、治療においては、情緒や行動に直接的に介入するだけでなく、情緒や行動に影響を及ぼしている認知的要因を積極的に治療標的として扱います。また,それらを適応的な認知へと変容していくことによって、情緒の安定や行動の修正を効果的に行っていくことを目的としています。 さらに、考え方が変わることによって、気分や行動は変わるということをクライエント自身が繰り返し経験することを通して、「自分の考え方を変容していくことによって、情緒や行動をコントロールすることができる」ということを自覚できるように促していく、 すなわち、認知行動療法とは、セルフコントロールの獲得をねらった治療法です。

欧米の学会によってはBCTは行動療法に重きをおいた療法、またCBTは認知に重きをおいた療法と定義しているところもありますが、日本語訳では多くの場合行動認知療法(BCT)と認知行動療法(CBT)は広義の認知療法と行動療法が融合したものであるという考え方から同義語として捉えています。 認知行動療法には100以上の手法があります。


日本認知行動療法協会 ウェブサイトより抜粋 https://www.jabct.org/home-japanese/

来談者中心療法(パーソンセンタード)

「来談者中心療法」は、ロジャーズ,C.Rにより提唱された心理療法で「クライエント中心療法」とも呼ばれます。人間は誰しも、潜在能力や自己成長能力としての実現化傾向を持っていると考えがベースにあります。それらを阻害する外的圧力を取り除きさえすれば、人は自然とよい状態に成長できるというのです。

つまり、不適応や精神疾患は、クライエント自身の評価やイメージのまとまりである自己概念の中に経験的自己をうまく取り込めず、否認や抑圧、または歪曲するといった自己不一致の状態に置かれることで生じると考えます。 したがって、来談者中心療法の目的は、症状の消去ではなく、自己概念と経験的自己の「自己一致」となります。

具体的には、「無条件の肯定的関心」をクライエントに寄せ、クライエントの感情的表現に対して「共感的に理解」し、表現された感情的内容をそのまま、もしくは要約して返すことによって伝えていきます。 これを「感情の反射」といいますが、これにより、明確には理解していなかった真の感情状態への気付きが可能となるのです。


心理学用語サイコタム ウェブサイトより抜粋 http://psychoterm.jp/applied/clinical/c2.html

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